Chapter 126 of 126

托鉢

読了目安 約2分 ・ 最終更新 2026年7月
この話が寄り添う心: 人間関係自分との向き合い方
托鉢

托鉢

托鉢をしている僧侶を見たことがあるでしょうか?

私は一度だけですが、子供のころ、家に托鉢のお坊さんがやってきたのを見たことがあります。

玄関先に立って、手には大きい茶碗を持っています。
そこへ父が何か入れていました。たぶんお金だったと思います。

このとき私は、「なんでこの人はこんなことをしてるんだろう? お金に困っているのかな。生活していくためかな」と思いました。

しかしあとで知りましたが、それは逆で、自分が苦しいから托鉢をしているのではなく、苦しんでいる相手を助けるためにするのが托鉢なのです。

こんな話があります。

お釈迦さまが、お弟子を連れて托鉢に出かけました。
途中、道が2つに分かれているところで、お釈迦さまは貧しい村があるほうへ向かおうとされました。

弟子はあわてて言います。

「お釈迦さま、失礼ですが、道を間違えていないでしょうか。
この先はたいへん貧しい集落で、きょう食べるものにさえ困っている人たちばかりが住んでおります。とうてい、お布施などできそうにない人たちです。
あちらの道なら、商人や富豪が住んでいる町へと続いています。あちらへ行けば、たくさんお布施する人があるでしょう」

するとお釈迦さまは、こうおっしゃいました。

「道は間違えていない。いま食べるものにも困っているのは、過去世において人に施しをしてこなかった報いなのだ。
良いタネをまかなければ幸せにはなれぬ。
そんな人こそ、人に施しをして、良いタネをまかなければならない。
その良いタネが必ずやその人を良い方向に向かわせ、いまの貧しさを抜け出すことができるのだ。まいたタネは必ず生えるのだからな」

人に親切にしたり、困っている人をお金や物で助けたりすることを、布施といいます。
布施はすばらしいタネまきなので、その結果は必ず自分に良い報いとなって現れます。

托鉢は、その布施を人にすすめるためにするものなのです。

しあわせのタネをまけば、しあわせの花が咲く。
そう知った私たちは、自分自身が良いタネをまくだけでなく、人にも良いタネまきをすすめましょう。

茶碗を持って玄関先に立つ必要はありません。

ボランティア活動に人を誘ったり、募金活動をSNSで広めるのもいいですね。

他にも、托鉢の精神で何ができるか考え、実践してみてはどうでしょうか。

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